近年、新しい働き方として注目を集め、急速に普及している「ワーケーション」。
「ワーケーションとは具体的に何を意味しているの?」
「ワーケーションをすると何がいいの?」
「テレワークとワーケーションは違うの?」
といった疑問を持っている方もいるかもしれません。
本記事では、言葉の意味や注目を集める背景、テレワークとの違い、実施するメリットなど、ワーケーションについて詳しく解説していきます。
ワーケーションについて知りたい方や、導入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
そもそも「ワーケーション」とは?
ワーク × バケーション = ワーケーション
「ワーケーション(Workation)」とは、「Work(仕事)」と「Vacation(休暇)」を組み合わせた造語で、「リゾートホテルや地方のキャンプ場など、いつもの職場や自宅とは異なる場所で働き、同時に休暇取得も行う新しいスタイル」を意味しています。
ワーケーションをどこで実施するかは、原則、プロジェクトチームや個人が主体的に選択することができます。
ワーケーションが注目されている背景
政府の「働き方改革」の広がりとともに注目
2019年4月1日から、政府が主導で進める「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」いわゆる「働き方改革関連法案」がスタートしました。そもそも「働き方改革」とは、老若男女多様な人材が活躍できる「一億総活躍社会」を推進する取り組みの一環として、従来の働き方とは異なるワークスタイルを取り入れることを指しています。
こうした政府の働き方改革により、有給休暇の取得やリモートワークが推奨されるなど、社員の心身のリフレッシュを目的とする具体的な施策が急速に進んでいます。さらに「オフィスビルに行かなくても仕事はできる」という新しい考え方が、この数年で急速な広がりを見せています。こうした官民によるリモートワーク促進と休暇取得推奨という流れの中、「ワーケーション」が注目を集めるようになったのです。
コロナ禍で新しい働き方が加速
さらに、新型コロナウイルスの影響により、社会経済活動は大きく変容しました。多くの企業はテレワークの強化を要請され、柔軟な働き方のニーズへの対応が求められるようになったのです。一方観光業界は、緊急事態宣言による外出自粛要請やインバウンド需要減少などにより大打撃を受けました。
こうしたなかで「仕事」と「観光」を組み合わせたワーケーションを推進することは、企業や観光業界、さらに地域活性化を目指す自治体、いずれにとっても恩恵のある取り組みとなります。
ワーケーションは、このような背景から注目を集め、新たな働き方として急速に普及しています。これは、働く場所の自由度が高まったことと、地域が活性化するチャンスをつかむための努力が一体となった結果です。
ワーケーションの種類
上述の通り、ワーケーションとはテレワーク等を活用し、普段の職場とは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行うことです。観光庁では、ワーケーションを大きく「休暇型ワーケーション」と「業務型ワーケーション」の2つに分類しています。
休暇型(福利厚生型)ワーケーション
休暇型ワーケーションは、リゾート地や観光地などで余興を楽しみながらテレワークを行うスタイルを指します。ノマドワーカーのような個人単位が基本となっており、あくまで休暇を目的としているため、移動や宿泊等の費用は個人が負担することが前提となっています。また、「休暇型」は企業が有給休暇の取得を促進するなど、福利厚生を目的に行っている場合もおおいため、「福利厚生型」と呼ばれることもあります。
業務型ワーケーション
業務型ワーケーションは仕事をメインに据えて、その前後などに休暇を楽しむスタイルを指します。企業や受入地域のニーズに合わせて、さらに「地域課題解決型」「合宿型」「サテライトオフィス型」の3つに分類されます。
地域解決型ワーケーション
「地域課題解決型」は、地域貢献や地域の課題解決を目的として実施されます。参加者は特定の地域に滞在しながら仕事を行い、その合間に地域関係者と交流しながら、共に地域の課題を考えて解決に向けて取り組みます。地域貢献や活性化につながるだけでなく、企業のSDGsへの取り組みや、人材育成、新しいビジネスチャンスの創出など様々な側面で注目されています。
合宿型ワーケーション
「合宿型」は、通常のオフィスとは場所を変えて、職場のメンバーと議論やグループワーク、研修などを行うようなスタイルのワーケーションです。環境や雰囲気の変化によって参加者にリフレッシュしてもらうことができるだけでなく、チームビルディングやコミュニケーション活性化、新規事業のアイデア創出などにもつながります。
サテライトオフィス型ワーケーション
「サテライトオフィス型」は、企業が所有するサテライトオフィスや、街中のシェアオフィス・コワーキングスペースなどを利用してテレワークを行うスタイルのワーケーションです。通常のオフィスや自宅以外の環境で仕事をすることで、柔軟かつ多様な働き方が実現され、従業員の業務効率の向上が見込めます。
ブリージャー(ブレジャ―)
ワーケーションと類似の用語として、「ブリージャー(ブレジャ―)」というものがあります。これは「出張(Business Travel)」と「レジャー(Leisure)」を組み合わせた造語で、出張の前後に休暇を取り、個人的な旅行を楽しむことを意味します。
ブリージャーもワーケーションも仕事と休暇を組み合わせるという点は共通しています。ただし、ブリージャーは出張のスケジュールや行き先などが決められているなかで休暇を加えるのに対し、ワーケーションは、行き先やプランを比較的自由に決めることができ、現地で休暇を過ごしながら仕事をするという点に違いがあります。
ワーケーションとテレワークの違い
最新の通信環境やPC、会議ソフトなど、ICT環境の急速な普及によって、PCが1台あればどこでも仕事ができる、つまりテレワークを実現できる環境が整いつつあります。なかにはオフィスにほとんど行かず、自宅でのテレワークが当たり前になってきている企業の数も増えています。それでは、こうしたテレワークに対して、ワーケーションはどのような違いあるのでしょうか?
実行内容と目的の違い
まず、ワーケーションとテレワークのもっとも大きな違いとして、ワーケーションが仕事とバケーションを行うものであるのに対し、テレワークは仕事のみであるということがあります。また、その主な目的が、ワーケーションではリフレッシュや生産性向上等であるのに対し、テレワークは通勤時間の削減や職場での感染予防対策であるという違いがあります。
ロケーションの違い
また、それぞれの実施場所も異なります。テレワークの実施場所は、原則自宅になります。最近ではビジネスホテルチェーンが個人のテレワーク向け格安プランを提供・販売していますが、実際の利用者はごくわずかです。一方、ワーケーションの活動エリアは、自宅やオフィス以外の場所であり、特にリゾート地のホテルやアウトドア施設が選ばれる傾向にあります。
参加メンバーの違い
さらに主体となるメンバーは、テレワークの場合は個人になりますが、ワーケーションの場合は個人だけでなく、部門・部署やプロジェクト単位の複数名で参加することがあります。
このように参加者の支店から1つ1つを比較するだけでも、ワーケーションとテレワークは全く異なるものであることがわかります。そして、これまでにテレワークに関する新しいマーケットが着々と育ってきたのと同じように、ワーケーションに関するマーケットに関しても、広がりが生まれていくことが期待されています。特に、地方自治体や旅行会社が毎月のようにリリースを発表し、新しいワーケーション施設が次々と生まれてきています。今後、ワーケーションの普及に伴い、ワーケーションのマーケットが拡大していくことは確実です。
ワーケーションの5つのメリット
ワーケーションを利用する側、すなわち企業とその社員には、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、5つのメリットをご紹介します。
①中長期の休暇が取りやすくなる
ICTの急速な発展により、リモートワークが簡単に行えるようになりました。通常のオフィス環境から離れたところから、ZoomやTeamsなどのビデオ会議システムを使って会議や打ち合わせに参加することが出来ます。休暇を交えながら、どこで仕事をしても良いというワーケーション制度によって、短期はもちろんのこと、中長期の休みも取りやすくなるはずです。
②家族と過ごす時間の増加
ワーケーションの参加形態は、多くの場合、車内のプロジェクトチーム数名単位か、個人で実施することがほとんどです。各企業の規定にもよりますが、家族やペットを連れてリゾート地や地方のキャンプ場などに行くことも可能です。そのため、ワーケーション中の仕事以外の時間は、家族と過ごす時間として確保できるようになります。
③社員のモチベーションアップ
ワーケーションの導入により、休暇を取りやすくなったり、家族との時間を確保できるようになったりすると、社員のモチベーションアップにもつながります。また、ワークライフバランスを重視する昨今、ワーケーションという最先端の制度を取り入れている企業ということで、自分が所属している会社に対するロイヤリティが高くなることも期待されます。
④新しいアイデアの創出
自然豊富な地方のリゾート地という非日常空間で仕事を行うことにより、新しいアイデアの創出など、生産性向上につながることが期待できます。特に、普段、都心のビルの会議室でアイデアを模索しているような企画部門や新規事業開発部門にとっては効果的です。
⑤リクルーティング効果
昨今のビジネスパーソンが求める働き方に対する取り組みに、ワークライフバランスがあります。特に若年層は、仕事も重要だが、プライベートも充実させたいという考えを持つようになってきています。先進的なワーケーション制度を導入していることは、こうした新入社員や中途入社候補者に対するリクルーティングの方策として十分にアピールできる制度です。
まとめ
近年注目を集めているワーケーションについて、基礎的な知識やテレワークとの違い、導入するメリットなどについてご紹介しました。
ワーケーションを実施することは、従業員にとっても企業にとっても多くのメリットが考えられます。この記事を参考に、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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